淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

ウワミズザクラ(花)

風が吹いても寒さを感じないほど気温が上が

るようになりました。

歩いていると至る所でウワミズザクラの白い

花が、山肌を彩っています。

白い筒状の花は、ガラス瓶や水筒を洗うブラ

シにそっくりで触るとフワフワしています。

何ともユニークな花だなぁと見る度に思うの

ですが、不思議なことに昨春はこの花をほと

んど目にしませんでした。一昨年の夏の暑さ

が響いたのかもしれません。寒さは今年の方

がずっと厳しかったはずなのに…

この辺りでも春はあっという間に終わりに近

づき、日中は暑いくらいに感じられる日も出

てきました。このところ雨が全く降らず、ず

っと乾燥注意報が出続けているので来年はま

たウワミズザクラは花がつかないかもしれま

せん。大きな木、全体を風で揺らしながら咲

いている沢沿いの道で見る白い羽根飾りをつ

けたような姿はとても美しいのに。

サクラと呼ぶには異形かもしれませんが、湿

潤な環境を好むウワミズザクラが、来年も咲

いてくれますように、と水神様にほどほどの

雨を祈りたいほどこの春は乾いた日々が心配

な状況になりつつあります。

 

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サンショウ(花)

日本料理などで木の芽と呼ばれるサンショウ

は、この辺りでは今が花の時期です。

柔らかい若葉を次から次へと出した少し後に

小さな花の塊が現れ、黄色い線香花火のよう

に開きます。

我が家のサンショウは、植えたものは1本も

ありません。いつの間にか鳥によって運ばれ

て来るらしく、庭のあちこちに芽生えていま

す。

雌雄異株のため、雌株にしか実がなりません

が、それでも春はタケノコやワラビを料理し

た時にちょっと添えるのには十分な量の葉を

収穫出来ますし、6月頃に青い実を収穫して

おくとほぼ1年中煮魚の臭み消しに使えて重

宝してます。

サンショウは春の芽から秋の実まで大いに役

立つ庭木ですが、唯一の弱点はアゲハチョウ

の幼虫に取りつかれることです。気温が上が

り、アゲハチョウが舞い始める季節になると

毎日幼虫がいないかパトロールをしなければ

なりません。緑色の丸々と太った幼虫は、結

構強気で駆除しようとすると悪臭を放ってき

ます。多少なら分けてあげても良いと思うの

ですが、丸坊主にされると枯れてしまうので

強制退去してもらいます。

暖かくなるのは嬉しいことですが、虫との戦

いは気が重いことです。

 

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ユウシュンラン(花)

昨年、ずっとギンランだと思っていた植物が

ユウシュンランだとわかりました。

そんな貴重な植物が我が家の近所の雑木林に

あるなんて思ってもいなかったのでびっくり

でした。

ユウシュンランは、この辺りではだいたいゴ

ールデンウイーク辺りから咲き始めます。全

長10㎝くらいの草丈は目を凝らして雑木林の

地面を探さないとなかなか見つかりません。

大体毎年同じような場所に開花するので最近

はだいぶ見つけやすくなりましたが、慣れな

い場所では余程目の肥えた人じゃないと発見

出来ないかもしれません。

ユウシュンランのユウシュンは、植物学者の

工藤祐舜にちなんでつけられた名前だそうで

す。植物分類学の泰斗として知られる人だそ

うですが、恥ずかしながら私は今回初めて知

りました。

秋田県出身の工藤祐舜は、旧制中学生の頃か

ら植物に魅せられ、家がお寺であったにもか

かわらず植物の研究に邁進しましたが、44歳

の若さで台湾で亡くなったそうです。

白というより透明に近いようなユウシュンラ

ンの花は、はかなげで短い一生を全力で植物

に捧げた工藤祐舜にとても似合っているよう

な気がします。

 

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ハンショウヅル(花)

今年のハンショウヅルは、少しだけ花が増え

たようです。写真ような花の塊が4ヶ所ほど

確認出来ました。ツルは相変わらず1本だけ

ですが、このツルに4、5輪ずつ花がついて

います。

ハンショウヅルは、雑木林の林床に育つツル

性のキンポウゲ科の植物です。

このハンショウヅルを見つけてかれこれ20年

以上になります。年によって花の数は増減し

ますが、全体の大きさはほとんど変わってい

るようには見えません。ツル性の植物は、一

度ツルを途中で切ると脇芽が出てくるもので

すが、これ1本しかないので失敗してしまっ

たら、と思うと怖くてそれも出来ないまま月

日が過ぎているのが現状です。もっと山の奥

には生き残っている株が、あるのかもしれな

いと期待しながら探しているのですが…

ハンショウヅルは、クレマチスの仲間なので

種を採ることが出来れば繁殖を手伝えるので

すが、毎年観察していますが完熟した種が実

ることも稀です。

なかなか気難しいハンショウヅルですが、今

年は花が多いのでこの中の1つだけでも種を

つけてくれないかとハラハラしながら見守っ

ています。

 

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フキノトウ(実)

春の訪れを一番最初に知らせてくれたフキノ

トウは、もう綿毛をつけタネに姿を変えてい

ます。

タンポポにそっくりですが一輪一輪が小さい

綿毛のブーケは、風が吹けば今にも旅立ちそ

うな様子です。田んぼの畔にはそんなフキノ

トウがたくさん。萌黄色だった花は、銀色の

綿毛に姿を変え、春の日差しにキラキラと輝

いています。また来年ね、と言っているよう

で思わず足を止めて見とれてしまいました。

冬の間、乾いた切り株を晒しているだけだっ

た田んぼは、このところ日に日に水が張られ

た区画を増やしています。この辺りは、ゴー

ルデンウイーク中に田植えを終えてしまう兼

業農家さんが多いので大忙しのようです。昨

日の夕方通りかかると小さな苗が既に植えら

れた所もありました。

例年でも朝晩はまだまだ冷たい風が吹くこの

地方で水に浸かった幼いイネたちはさぞ冷た

かろうと思います。季節が遅れている今年は

なおのこと冷たいだろうなぁ。

寒さにくじけそうになっていた2月の終わり

ごろ、寒くても春はもうすぐだよ、と励まし

てくれたフキノトウたちは今度は土の中で眠

りながら幼いイネたちの成長を見守っている

のでしょう。

 

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カラスノエンドウ(花)

一雨ごとに雑草と呼ばれる草たちが勢いを増

している今日この頃。カラスノエンドウもそ

んな春を代表する植物のひとつです。

ついこの間まで枯草だらけだった日当たりの

良い場所は、ショッキングピンクとペリドッ

トグリーンで覆われています。

カラスノエンドウは、マメ科の植物なのでツ

ルを伸ばしてドンドン背丈を高くしようとし

ます。ところが、皮肉にも自分達が成長する

場所は日当たりの良い開けた平地や斜面なた

め周囲に巻きつくものがありません。仕方が

ないと思ったのか、お互いに仲間同士で支え

合って背丈を伸ばし、それでも倒れてしまう

時は横方向へ伸びていきます。伸びたツルに

はたくさんの葉を茂らせ、花をつけ、最後に

サヤの中に種である豆を実らせます。

先日、ある雑誌を読んでいたらカラスノエン

ドウはお茶にして楽しめると書かれていまし

た。根以外の部分を摘んで洗って天日干しし

た後、フライパンで軽く炒ったら完成らしい

です。緑茶や玄米茶などとブレンドしても良

いとのこと。なるべく汚染されにくい場所か

ら採取するように注意書きがついていたので

今度、試してみたいと思っています。

 

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キバナオドリコソウ(花)

雨が降ったらまた早春のような冷たい空気に

変わりました。

近所の公園へ行ってみると今年もキバナオド

リコソウが開花していました。

キバナオドリコソウは、木漏れ日の下の少し

湿った落ち葉の上が好きなようですが、今年

は乾燥した日が続いていたせいか例年よりも

花数が少し減っているような感じでした。

この公園はたまに近くのデイサービスの人達

が散歩に来るだけで普段は人気のない場所で

す。一応、雲梯と小さな砂場がありますが、

子供が遊んでいるのはあまり見たことがあり

ません。狭い公園ですが、周囲を雑木林に囲

まれているのと静かで家から近いので私にと

っては憩いの場所です。

キバナオドリコソウは常緑性なため、冬でも

小さくなって落ち葉の間で過ごしています。

霜や雪もあまり当たらない場所を上手に選ん

でいるので枯れることはなく、その賢さには

感心してしまいます。

小さなキバナオドリコソウは、春になると一

雨ごとに葉と丈が急成長します。雨がキバナ

オドリコソウに春を知らせるのでしょう。

優しい黄色の花と白い斑入りの葉のせいか、

日陰で咲いていてもこの花からは明るい印象

を受けるのです。

 

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ヤエザクラ(花)

家からすぐの高台にあるヤエザクラが満開に

なりました。

この高台は、谷を挟んで向こう側の山肌が見

えお気に入りの場所です。双眼鏡を使ってじ

っくり山肌を眺めると薄っすらと萌黄色に色

付いた中にピンク色のヤマザクラが点々と咲

いているのも確認出来ます。

満開のヤエザクラの隣にはソメイヨシノが植

わっており、すでに葉桜になっています。ソ

メイヨシノの足元にはクロッカスが植わって

おり、春の先陣を切って咲きました。

ヤエザクラは、春の締めくくりを務める花で

す。これから後は、立夏となり初夏の花に交

代となります。大きな花の塊は、子供の頭ほ

どありボリューム満点。北国に住み始めて4

回目の春ですが、今年もやっとここまで来た

なぁと思います。

年が明けてからずっと春を待っていたような

気がします。次々と花が咲くようになったの

はつい最近のことです。それまでは殺風景に

閉じ込められつつ、春の兆しに目を凝らす日

々でした。

無数の花びらが跡形もなくどこかへ立ち去っ

てしまうのを見送る時、幸福とは日々目を凝

らして小さな喜びを見つけることと同じなの

ではないか、と悟るのです。

 

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ハナミズキ(花)

庭のハナミズキが、久しぶりに花を咲かせま

した。

庭の東側には2本のハナミズキが植わってい

ますが、ここ数年、ほとんど花がつきません

でした。ところが今年は、1本は全く花がつ

いていませんが、もう1本はだいぶ復活して

きました。

本来、ハナミズキは丈夫で手のかからない木

です。公園や街路樹のハナミズキも特に手入

れをしなくても毎年花を咲かせていますが、

どういう訳か我が家の木は花が咲かなくなり

ました。1本は、朝日しか当たらない場所に

植わっているので日照不足なのかもしれませ

んが…

木は一度植えてしまうとなかなか移植するの

が難しいものです。月日が経てばたつほど根

も地中に大きく広がっているので動かすとな

るとダメージが大きくなります。花が咲かな

ハナミズキでも葉は毎年茂り、それなりに

生きているのでそれを切り倒したり、移植す

るとなると大ごとなのでそこまでする必要は

ないかな?と思ってそのままになっているの

です。

ハナミズキを植えた張本人は、もう年老いて

植え替える体力は残っていません。木を植え

るとは、自分を含めて長い目で将来を見越す

ことなのです。

 

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シラネアオイ(花)

今年もあのシラネアオイが、そろそろ咲く頃

では?と思い訪ねてみました。

いつもなら落葉樹の木陰に咲く花が、カンカ

ン照りの地面に3輪ほど暑そうに開いていま

した。

今年の春は、雨が少なく落葉樹の葉の展開が

遅れています。その上、急に暑くなったかと

思えば次の日はまた冬のように寒くなったり

どの山野草も苦労しているように見受けられ

ます。

このシラネアオイは個人のお宅の庭に咲いて

いるものなので多分、持ち主の方がしっかり

水やりをしていると思いますが、急に夏日の

ような気温になると大丈夫だろうか、と心配

してしまいます。モミジのように切れ込んだ

葉も思わぬ暑さに少しグッタリしているよう

に見えます。

健康で若々しい肉体を持つ人々にとっては、

多少の寒暖差は誤差の範囲なのかもしれませ

ん。でも老人にとっては身体にこたえるよう

です。片方がお腹を壊したと思ったら、もう

片方が何でもない道で転んだりして次々と事

件が発生します。

周囲の山々がようやく淡い緑に染まり、北国

も山笑う季節となってきました。遥か遠くに

見える山々の雪が、一日でも早く消えて安定

した暖かな空気に包まれる日が待ち遠しいで

す。

 

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