淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

オオオナモミ(実)

稲刈りの済んだ広々とした田んぼの横を歩い

ていると道端にたくさんのオオオナモミが茂

っているのに気がつきました。

しばらくの間オオオナモミの株ばかりが続く

ので、こんなに殖えてしまって大丈夫なのだ

ろうか?と思うほどです。

オナモミの仲間は世界中に分布していますが

特徴的な形をした実が有名です。子供の頃は

この実をドロボウと呼んでわざと友達にくっ

つけて遊んだものです。

オオオナモミは日本に元からあるオナモミ

比べると大型です。草丈が高くなる分、実が

つく量も多く一度侵入された地域ではたちま

ち殖えてしまうため、侵略的外来種ワースト

100に指定されています。

オナモミのこのトゲだらけの実の中には2個

の種が入っています。そしてなんと!この2

個は性質が異なる種だそうです。1個はせっ

かちな種、もう1個はのんびり屋の種だそう

です。せっかちな種から発芽した苗たちが何

らかの事情でダメになった時、のんびり屋の

種から発芽した苗たちが生き残るリスク分散

機能を備えているらしいのです。

昨年はあまり見かけなかったオオオナモミ

今年たくさん見るようになったのは、のんび

り屋の種が今年になってたくさん発芽した結

果なのかもしれません。

ナギナタコウジュ(花)

ナギナタコウジュの花が、今年も咲き始めま

した。

薄紫色の花穂は、片側にだけ花が並んで下か

ら上に向かって咲き進みます。未熟な花穂が

まだたくさん周囲に見えるのでこれからし

らく咲き続けることでしょう。

このところ周囲の木々が急に色づき始め、秋

も終わりが近づいてきたことを感じます。空

も灰色の雲に覆われることが多くなり、もう

咲いている花などないだろうと思うのですが

そんな中でもナギナタコウジュは道端で群れ

ています。

ナギナタコウジュは、シソ科の一年草で秋の

終わりには種をつけて枯れてしまいます。ご

く普通の道端で多くの雑草と呼ばれる草たち

と混ざって秋の弱い日差しを浴びて咲いてい

るので、注意して観なければ見過ごしてしま

うような植物です。

ところが、このなんてことのない草が民間薬

としてはなかなか優秀で医療が行き渡ってい

ない時代はかなり重宝されていたようです。

本当は漢方薬でコウジュと呼ばれる薬は、ナ

ギナタコウジュとは別の植物とのことですが

それでも万能薬として多くの人々に役立って

きたのです。

昨年ナギナタコウジュは大変少く、心配し

ましたが今年は復活してホッとしています。

 

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サンザシ(実)

今年もサンザシの赤い実を見ることが出来ま

した。

今年の春は、いつもより花の数が少なく実が

見られないかもしれないと思っていました。

そのため、実が見えてくるまで心配でしたが

思ったより多くてホッとしています。

赤い実は中心が雌しべの名残で陥没していて

ちょっとブルーベリーの実に似ています。ブ

ルーベリーより3倍ほと大きく、触ってみる

とリンゴのように硬い感じです。また葉は艶

があり、一見常緑樹のように見えますが冬に

は落葉します。

サンザシの実は、最近はドライフルーツや健

康食品として出回っています。生の果実は大

変酸っぱくてそのままでは食べられないそう

ですが、豊富なビタミンCとカロチンを含む

ため体には大変良いそうです。

バラ科サンザシ属のサンザシは、江戸時代に

薬用樹木として持ち込まれました。今では寒

さに強く強健なため、庭木や盆栽として広ま

っているそうですが、私の近所ではサンザシ

を植えている家はここ1軒だけです。

冬になって葉が落ちてしまってもサンザシの

実はしばらく枝に残ります。冷たい北風にも

負けない硬い実はクリスマスの飾りのように

光って冬景色を毎年彩るのです。

 

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オヤマボクチ(花)

朽ちた木々のあちこちに生えたキノコを見な

がら歩いていると、フッと見慣れない大きな

ゴボウの葉のようなものに気がつきました。

根元の葉から視線を茎伝いに上へ移すとギョ

ッとするような大きなアザミに似た花がつい

ています。すぐにあっ、オヤマボクチの花だ

っと思いました。

オヤマボクチは、キク科ヤマボクチ属の多年

草です。花の形から分かる通りアザミの仲間

ですが、アザミと違って花が下向きにつき、

5㎝前後もある大きさと色の赤黒さもあって

ちょっと不気味な印象を受ける植物です。図

鑑ではアザミの仲間としてしばしば眺めてい

ましたが、実物を目にしたのは初めてでビッ

クリしました。

オヤマボクチのボクチは、ホクチが変化した

ものです。ホクチとは火口と書き、火打石か

ら出る火を移し取る綿毛のことで葉の裏にあ

る綿毛がホクチに使われていたことからこの

ような名前になったそうです。

この場所は雑木林の中に整備された道のすぐ

横で私もよく通る道です。それにも関わらず

この花を見たのは今回が初めて、周囲を見て

もこの1株しか生えていません。これから花

は種に変わっていくと思いますが、殖えてく

れるかなぁ~。じっくりと観察を続けたいと

思っています。

ガマ(実)

今年はもうガマの穂が立派に完成していま

す。

この1つの穂の塊におよそ35万個の種が格

納されていると、ものの本には書かれてい

ます。種自体の大きさはタンポポの種と大

差ないくらいですが、穂の中で綿毛が折り

たたまれてギュウギュウ詰めになっている

ため30㎝前後の穂の中にたくさんの種を入

れておくことが出来るのです。

ガマの穂は、十分に乾燥すると風などの刺

激でも穂が弾けて空気中に種を放出し始め

ます。一度一部分から種が出始めると綿毛

がミルミル膨らんで次から次へと種が出て

きます。

私の住む山から下って行くと周囲には点々

と沼や池が散らばっています。ガマは、こ

れらの沼や池の中でも日当たりの良い穏や

かな場所にたくさん茂っています。本当は

夏の様子も観察したのですが、夏は草が茂

り過ぎてとても近づけない所なので遠くか

ら眺めるばかりです。

ガマは漢字で書くと蒲。古くはガマの穂の

綿毛を布で包んで用いたことから蒲団と書

いてフトンと読みました。冬に向かって日

に日に気温が下がる季節となり、ガマの綿

毛の蒲団はさぞ温かったのだろうなぁ~と

想いを馳せています。

 

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ヤクシソウ(花)

すっかり華やかな色がなくなった山里で唯一

明るい色を放っているのは、ヤクシソウの花

です。

ヤクシソウが好むのは山の少し乾いた斜面で

す。花の形は春に咲くニガナに似ていますが

ヤクシソウは秋に花を咲かせ、また葉の形が

ニガナに比べて幅広いのですぐに見分けるこ

とが出来ます。

花は咲き終わるとダランと垂れ下がり、その

後綿毛をつけた種に変わります。種は本格的

寒さが来る前に発芽して小さな苗で冬を越し

ます。このようなタイプの植物を越年草と呼

びますが、越年草の多くが少し乾いた土地を

好むのには訳があります。

この辺りのように冬が厳しい場所は、水分の

多い場所は冬の間凍ります。池や沼はもちろ

ん土も12月~2月までは土の中の水分が凍り

ます。従って、もしそこに生身の植物が生え

ていたら細胞内の水分も凍って破壊されてし

まいます。そのことを知っている越年草たち

は、出来るだけ水分の少ない乾いた場所を選

んで冬を越すのです。

秋に芽を出しておけば、春に種からスタート

する他の植物より優位に立てます。厳しい冬

を知恵で乗り越える越年草のしたたかな戦略

には学ぶべきところ多くあります。

 

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ハナミズキ(実)

日差しが弱まってくるのに反比例するように

ハナミズキの実が目立つようになりました。

ハナミズキの実は、花の色が白でも赤でも関

係なく赤い実です。

開花時、花のように見える部分は実は花では

なく総苞という葉が変形したもので本当の花

は中心部の粒々した部分です。花が終わると

この部分が次第に大きくなり実となります。

花は全部実になるわけではなく、良くて半分

くらいが実となって秋に赤くなります。

今の時期、周囲の木々はまだ紅葉を始めてい

ませんが、ハナミズキは一足先に葉を日に日

に赤く染めています。他の木々が紅葉の盛り

を迎える頃には、枝には赤い実だけが残って

葉は全て散ってしまいます。もちろん、よく

見れば来春咲くための丸い花芽はちゃんと枝

先に用意されていますが。

北米大陸原産のハナミズキは、原産地では20

mを越える高木に育つそうです。以前、アメ

リカ映画のワンシ-ンで見たハナミズキもと

ても大きな木で花をたくさんつけた様子は大

変印象的でした。

遠く故郷を離れて日本の至る所にコンパクト

に定着したハナミズキは、この国の住み心地

をどう思っているのか、聞いてみたい気がし

ます。

 

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フジバカマ(花)

ようやくフジバカマの花がほころび始めまし

た。蕾自体はだいぶ前から出来ていたのです

が、そこから花が開くまでかなりの日数を要

しました。

フジバカマは、キク科ヒヨドリバナ属の多年

草です。かつては中国から古い時代に渡来し

たと言われていましたが、今は日本にも古く

から自生していたという説が有力です。少し

湿った場所を好むため、川の近くの草原など

で多く見られたそうですが今は自生のものは

ほとんど見られなくなっています。

我が家の庭で育てているフジバカマは、だい

ぶ前に母が山野草店で購入したものです。鉢

植えで育てていたのにいつの間にか鉢底から

根が地面に移動し、今では露地にも2、3株

生えています。大きな鉢に植えてもすぐに根

詰まりしてしまうほど成長が旺盛なのになぜ

自然界では絶滅の危機にさらされているのか

疑問でした。

先日フジバカマについての資料を読んでいた

ところ、園芸店で売られているフジバカマは

ほとんどがフジバカマとサワヒヨドリの交雑

種だと書かれていました。我が家の株もその

可能性が高いです。知らなければ良かったこ

とかな…。

 

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ウメモドキ(実)

少し黄葉が始まりかけたウメモドキには、朱

色の実がたくさんついています。

6月の終わりに花が咲いているのを見かけて

から3ヶ月が経っています。

ウメモドキは、葉の形がウメの木に似ている

ことからこの名がついたと言われています。

確かにちょっと似ているかもしれません。山

の湿地を好むそうで、この木もスギの林の下

の日陰に植わっています。

野生のものは少なくなっているようですが、

冬まで赤い実が残るため盆栽などにして楽し

む人も多く人気のある樹木です。

ウメモドキは、雌雄異株の性質のためこの木

の近くには雄株があるはずですが私はまだ見

つけられずにいます。そんなに遠くない場所

に雄株があるはずですが、実がつかない雄株

はなかなか見つけにくい存在です。

花も実も小さいウメモドキが一番目立つよう

になるのは、すべての葉が落ちた冬です。枝

に残された朱色の実は、ここだよ!と鳥たち

に合図しているように見えます。

モチノキ科の木は常緑樹が多いのですが、ウ

メモドキとアオハダは落葉樹です。今年はア

オハダが不作なのでウメモドキに冬の彩りを

頑張って欲しいものです。

 

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カナムグラ(雌花)

秋の山の斜面は、多くの草が繁茂して今年1

年の総仕上げに追われています。

カナムグラは、山の至る所に見られるツル性

植物で日本全国どこにでも繁殖しています。

掌を広げたような形の葉とトゲだらけの強靭

なツルを見れば誰でもああ!あれね、とわか

るでしょう。

夏の間、日当たりの良い場所に旺盛に茂った

カナムグラは秋になると花をつけます。花は

雄株と雌株それぞれに咲き、雌花を見るとあ

れ?どこかで見た花に似ているなぁと思いま

す。察しの良い方はお気づきかもしれません

が、以前記事にしたカラハナソウの花穂と大

変良く似ています。カラハナソウの花穂に比

べると半分以下ですが、初めて見た時はカラ

ハナソウの蕾かと思ったほどです。

カナムグラは、アサ科カラハナソウ属の一年

草です。そのためカラハナソウの親戚です。

ただ葉の形が、カラハナソウとは異なりカエ

デのように裂けているためすぐに見分けるこ

とが出来ます。

繁殖力の強さから外来種と思われがちですが

万葉集の中に登場するヤエムグラは、一説に

はカナムグラのことを指していたのではない

か、と言われています。

 

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