淡々と・・・

淡々と過ぎていく日々、心にとまったひとこまを写真と短文で綴っています。

ミツマタ(蕾)

季節は急速に時間を早め、周囲の木々が色を

失っていく中ミツマタの木はまだ青々とした

葉と蕾を残しています。

冬が来ればミツマタも蕾だけを残して葉を落

としてしまうのですが、今は周囲の景色とは

不似合いなほど緑色をしています。

早春のまだ冷たい空気の中で咲き始めるミツ

マタの花芽は、細かい産毛に覆われてこれか

ら来る寒さに備えています。寒さが本格的に

なる前に花の準備は完全に終了して眠りに就

くのです。

ミツマタは、枝が必ず3つに分かれてその枝

先に花をつけることから名付けられました。

春まだ寒いうちから咲き始めるため、この花

を吉兆の印として尊ぶ習わしも古くからあり

ました。三枝と書いてサエグサと読む苗字が

ありますが、これも元はミツマタを指し、幸

先良い草(本当は木ですが)=幸草(サキク

サ)が転じて生まれた呼び名であると言われ

ています。

和紙の原料としても有名なミツマタは、明治

時代になって紙のお金が一般的になるとその

大半を担うようになりました。

紙のお金の存在が薄れていく今、ミツマタ

花はただの可愛い花としてしか見られなくな

っていくのでしょうか。

 

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ツワブキ(花)

ツワブキの花が咲き出すとそろそろ冬の合図

です。

ツワブキの葉はフキの葉に良く似ていますが

濃い緑色をしていて冬でも枯れることはあり

ません。キク科の植物は大抵は冬になると地

上部は枯れてしまうのですが、ツワブキは厚

い光沢のある葉を雪が積もっても保ったまま

春を待ちます。

11月の声が近づいて来るとツワブキは、鮮や

かな黄色い花を次々と咲かせ始めます。他の

植物が冬に向かって枯れていくのに対して、

むしろこれからが自分にとっては快適な季節

と言わんばかりに茎を長く伸ばした頂点に花

を開きます。

この頃になるといつもごちゃごちゃの我が家

の庭も咲いている花はほとんどなくなり、弱

いながらも晩秋の日差しを独占出来る状態に

なります。ツワブキは、孤独を謳歌するかの

ように生き生きと咲くのです。

我が家のツワブキは年々この庭に馴染んで大

きくなっています。最初株分けしてもらった

時は小さなポット苗だったのに庭に下ろして

からは葉も草丈も勢いを増しています。狭く

て瓦礫だらけの庭土にもかかわらず、この土

地を気に入ってくれたのかと思うと「ありが

とう」という気持ちが自然と浮かんでくるの

です。

 

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ニシキギ(実)

青空の下でニシキギの紅葉が、見事に映えて

います。

昨年はニシキギの実も不作でしたが今年はほ

ぼ例年通り。赤い実は葉の紅葉が始まってし

まうと目立たなくなりますが、落葉すると再

び存在感を示します。

ニシキギは、この辺りの雑木林ではよく見か

ける落葉低木です。枝の周りに翼と呼ばれる

薄く平たい板状の樹皮のようなものが出来る

のが特徴の木です。この形がカミソリのよう

に見えることから別名カミソリノキとも呼ば

れます。

ニシキギは背も低く、初夏の花も小さく緑色

なため普段は目立たない存在です。ところが

秋になって急激に気温が下がり始めると、日

当たりの良い場所にある木ほど早く赤く色付

き始めます。木の上から下へ赤から緑のグラ

デーションに彩られた姿は、芸術作品のよう

に人目をひく存在です。

朝晩の気温の差が激しくなり、今朝は屋根や

車のフロントガラスに薄っすらと霜が降りま

した。日中のほんの一瞬はポカポカと温かな

日差しを味わうことが出来ますが、午後にな

るとあっという間に冷たい空気に包まれてし

まいます。

真っ赤な季節は、間もなく荒涼とした冬がや

って来ることを知らせる合図でもあります。

 

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ミツバアケビ(実)

昨年立派な実をつけていたアケビの株には今

年は、実がつきませんでした。

でもこの辺りではアケビはあちこちにあるの

で少し離れた場所にたくさん実がついている

のを見つけました。

今年たくさん実をつけた株は、携帯電話の鉄

塔の足元のフェンスにからみついた株です。

鉄塔の周囲は、勝手に人が入らないように金

網のフェンスでガッチリ囲われています。そ

のフェンスにアケビのツルがグルグルとから

みついていたのです。

最初、私は気付かずに通り過ぎていました。

ところが、次に母を連れて通ると母があそこ

にたくさんアケビがなっているから採って欲

しいと言ったのです。

言われて見れば一段高くなった金網に数個の

アケビの実がなっているのが見えます。まだ

葉もたくさん残っていたのによく見つけたも

のだなぁと感心してしまいました。家の中で

は日に日にミスを連発しているのにこういう

ことになると頭が冴えるのはどういうことな

のでしょう?

求めに応じて藪をかき分け、フェンスに近づ

いて狭い網のマス目に手を入れて実を数個採

ると母に渡しました。

家に帰る道中、この人は前世はサルだったの

では?と思っていたことは内緒です。

 

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セイタカアワダチソウ(花)

今年もセイタカアワダチソウの群落が、見事

な花畑を作っています。

セイタカアワダチソウは、元々は明治時代に

園芸目的で持ち込まれたそうです。その後、

第2次世界大戦後のアメリカ軍の輸入物資に

種がついてきたものが各地に広まったと考え

られています。また休耕田が増えたことによ

り、栄養に富んだ土地が空いたことが爆発的

に殖える原因になったとも言われています。

先日父と病院へ向かう途中、車で新しく出来

たばかりの道路を通りました。元は田んぼだ

った広々とした道の両側には、やはりセイタ

カアワダチソウが植えたように美しく茂って

おり父も感嘆していました。

このままでは日本中がセイタカアワダチソウ

で覆われてしまうのでは?と心配になります

が、その心配はないのが自然界の不思議なと

ころです。

何年もセイタカアワダチソウが育ち続けた土

壌は、次第に栄養分が抜けてやせてきます。

するとやせた土地を好むススキなどの植物が

優勢になりセイタカアワダチソウは生えなく

なるのです。

私が両親の年になる頃、セイタカアワダチソ

ウは懐かしく思い出す花になっているかもし

れません。

 

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マムシグサ(実)

春にマムシグサの花を見た場所へ行ってみる

とススキやクズが物凄い勢いで茂っており林

の中へは入れませんでした。

ヤレヤレこれでは中に入れないなぁと思って

周囲を見回すと林の左手の草むらに赤い実を

つけたマムシグサが2株鎮座していました。

まるで中に入れないからお迎えに出ましたよ

と言ってくれているようで嬉しくなり写真を

何枚も撮ってしまいました。

マムシグサは春は緑色の花でしたが、今は真

っ赤な実をトウモロコシのようにつけていま

す。花の形からこの実を想像するのは難しい

のですが、筒状の花(正しくは苞)の中に未

熟な実の元(雌花)が隠されています。秋に

なる頃には筒状の花は、枯れてなくなって実

が露出するのです。

マムシグサは、雌雄異株の植物なので実が生

るのは雌花をさかせる雌株だけです。でもこ

の実はシュウ酸カルシウムを大量に含むので

絶対に食べてはいけません。また根元にはコ

ンニャクと同じように根茎を作っていますが

それも食べてはいけません。

真っ赤に熟した実はなんとなく甘い実のよう

に見えるかもしれませんが、何時間も続く痛

みでひどい目に遭いますのでくれぐれもご注

意ください。

 

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マユミ(実)

庭で何年も謎の木だったマユミの木に今年は

初めて実が生りました。

マユミの木は雌雄異株のため、晩春に初めて

花が咲いた後、ほとんどの花が落ちてしまっ

たのでこの木は雄株だったのかな?と実はあ

きらめていました。ところが、秋になって少

しだけ実がついていることに気づきました。

最初緑色だったカボチャ型の実は、段々とピ

ンク色に色付き、その後割れて中から赤い皮

に覆われた種が現れます。葉は、秋の深まり

と共に散ってしまいますが、この実は結構遅

くまで残ります。冬晴れの青空をバックに赤

い実だけが揺れている様子は、なかなか美し

い光景です。

赤い実は冬の間に少しずつ鳥たちの食料にな

っていつしかなくなってしまいますが、元々

植えたわけではないこの木は鳥たちのものだ

と思っています。

周囲の雑木林を歩いていると自生のマユミの

木もあちこちで目にします。この辺りの気候

に適している木なのでしょう。

春の小さな花もチャーミングですが、秋のユ

ラユラと揺れるピンク色の果皮と赤い種のコ

ントラストもなんとも愛らしいものだと毎年

のように思うのです。

 

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アキノキリンソウ(花)

チラチラと木漏れ日が当たる雑木林の端では

アキノキリンソウの花が咲いています。

小さな黄色い花が集まって咲く姿はかなり気

温が下がった晩秋まで雑木林見られますが、

最近は雑木林が減少しているため珍しくなっ

ているそうです。雑木林の中では今の時期、

至る所で見られるのでなんだかピンとこない

のですが日本全体から眺めればやはり都市化

は進んでいるのでしょう。

この辺りで見かけるアキノキリンソウは、図

鑑などの説明に載っている説明に比べると随

分と草丈が低いものが多いです。草丈が低い

小型のものはミヤマアキノキリンソウという

説もあるのでもしかしたらそちらの方なのか

もしれません。

夏の終わりから次々と咲きつないでいたノギ

クの仲間もアキノキリンソウが最後を飾って

お仕舞いになります。

誰もいない雑木林で健気に咲いている黄色い

小花は、誰かのためではなく自分のために命

を使い果たして消えていくのです。

 

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ムラサキシキブ(実)

温かな午後の西日を浴びてムラサキシキブ

実が、耀いて見えます。

夏の初めに薄紫色の小花をたくさんつけてい

た枝には今、小さな紫色の実がたくさんつい

ています。実の数は花の数に比べるとだいぶ

少なくなっていますが、それでも枝のそこか

しこを彩るには十分な数です。

この美しい紫色の実を楽しめるのは、花の頃

せっせと働いてくれたハチたちのお蔭です。

ハチたちは自分達の行動が、ムラサキシキブ

の受粉に貢献しているとは思っていないでし

ょう。でも、朝早くから花から花へと移動し

てくれたお蔭で実ることが出来たのです。

ハチの次にムラサキシキブの繁殖に貢献する

出番を待っているのは鳥です。紫色に実った

実を冬の間の食料にしてあちこちに種まきし

て回ります。

ハチも鳥もただ自分達が生きるために行って

いる行動が、ムラサキシキブを助ける結果に

つながっています。難しいことなんて何ひと

つ考えていないでしょう。

自分が一生懸命生きた結果、誰かの幸せにつ

ながることが出来たらなんて幸せなんだろう

ムラサキシキブの1年を見ていて思うので

す。

 

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カキ(実)

今年も庭のカキの実の食べ頃が近づいてきま

した。

昨年より実の数は少しだけ多いようですが、

もう高い所は鳥につつかれています。

花の咲いていた頃、美しい若葉色をしていた

葉もまだ緑色の部分もありますが、このとこ

ろ朝の気温が急速に下がっているため思い思

いに色付いています。

売り物のカキの実は、果樹農家の方が肥料を

与えたり剪定したりして手をかけて育ててい

るため甘くて美味しく出来上がっています。

それに比べて我が家のカキの木は、ほとんど

肥料も与えられず放置されているに等しいの

でお世辞にも美味しいとは言えない味です。

それなのに父は1つでも多く収穫したいと思

っているようで、はたから見たら可笑しな仕

掛けを木に括り付けて生き物たちから守ろう

としています。私は食べたい生き物がいるな

らそのままにして私達は買ったカキの実を食

べればいいじゃない、と思うのですが自分が

遠くから運んできて植えたのだから何として

も死守するのだ!と言って譲りません。

一度自分の所有物となったものに対して人一

倍執着するこの性格は、時には自分自身を苦

しめていることに当人はほとんど気付いてい

ないのです。

 

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